合気道小林道場 Aikido Kobayashi Dojo

その4 平成8年10月

 合気道小林道場では、近年外国人の稽古人が増えています。彼らの中には、日本で初めて入門する人達も居ますが、多くは自分の国でも合気道を稽古しています。仕事や留学などで来日している機会を利用し、熱心に稽古に通ってきています。

 それとは別に、合気道を専門に稽古に来る人もいます。小平道場、所沢道場は海外からの修行者を受け入れる設備があり、今年だけでもハンガリー(女性)、スエーデン、カナダから稽古に来ました。現在は、皆さんにご協力いただいています「むすび基金」により、パラグアイから1人、3ヶ月の予定で住み込んでいます。10月にはアルゼンチン人がくる予定です。

 私も今年は海外の指導が多く、2月に五十嵐師範と明治大学合気道部の部員25名と共に、アメリカ西海岸での合宿稽古を行いました。5月の連休には台北で初めての合宿講習会に招かれ、7月中旬からはフィンランド、スェーデン、ノルウェーと巡回し、その足で、今年初めてハンガリーのブタペストで講習会を行いました。各国とも1週間から10日の合宿講習会で、多いところで200人、少ないところでも40〜50人の参加者がありました。

 日本で社会人を対象にした合宿は、週末一泊二日か連休を利用して岩井海岸合宿のように二泊三日が限度です。

 欧米の合宿は1週間から10日間行われます。ふだん稽古している道場で合宿が行われる場合には、みな道場に宿泊します。学校などの体育館を使う時は、教室に寝袋を持ち込み男女雑魚寝です。食事は調理室で料理を作るか、簡単なサンドイッチなど食べたりしています。勿論お金の有る人はホテルに泊まったり、自分のキャンピングカーでやって来ている人もいます。稽古時間以外はたいへん自由で、食事もみんな思い思いのものを食べています。彼らは稽古には大変熱心で、日本人の師範や自分より高段者の指導には、何かを得ようと真剣に稽古に取り組んでいます。

 その一方で、夫婦で参加したときなど、午前には奥さんが稽古で旦那さんが子供の世話、午後は旦那さんが稽古と、ほほえましい事もよく見かけます。

 台湾・韓国では合気道講習会の習慣が今までありませんでした。昨年、小林道場岩井合宿にそれぞれ約10名ずつ参加しました。それに刺激され今年五月には台北の郊外で、台湾の合気道では初めての二泊三日の合宿が、小林道場と同じスケジュールで行われました。有段者約55名が参加し、杖・剣を中心に基礎から稽古をし大きな成果を上げました。今後は毎年合宿を行うと、役員一同張り切っていました。来年には韓国合気会に積極的に働き掛けて、韓国でも合宿を行う予定です。

 合気道が海外に普及してから約35年、欧米を中心にアジア、アフリカ、中南米の各国56カ国で稽古されているそうです。合気道の良さが人種、国境を越えて広がっています。武道としてばかりでなく心身鍛練の道として人々に受け入れられているからです。合気道の普及、発展に努力している合気道小林道場の指導部にとっても本当に嬉しい事です。合気道小林道場指導部は植芝盛平翁先生の精神と技とを受け継ぎ、1人でも多くの合気道を稽古する仲間を、国内はもとより、世界各国に増やしてゆきたいと考えています。


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