「合気道は柔道や空手とどう違いますか?」と、しばしば質問されます。昔は徒手でやる格闘術すべてを柔(やわら)とか柔術といっていました。明治時代になって講道館の加納治五郎先生が柔術の袖、襟を持ちあう技や、寝技、抑え技を中心にスポーツ化し競技試合のできるようにしたのが柔道です。
また、空手道は中国、沖縄から伝わって来た突き、蹴りなどの当て身を主体にした武道です。
柔術の中にはスポーツ化できないよい技が大変多くあります。これに日本独特の稽古方法、さらに精神面を加え研究された植芝盛平先生が、時代流派を越えて新しく創始された武道が合気道です。
合気道は武道ですからどんな場所、どんな体勢で相手の攻撃を受けても一瞬に相手を倒すことができなければなりません。しかし、本来の合気道の目的は正勝吾勝といって、正しい事を実行し、自分に勝つことにあります。合気道には試合がありません。相手に勝って自己満足するために相手を投げるのではなく、修行中の自分を磨く砥石として投げ、投げられつつ修行していきます。そして、愛を和合と真心によって正しい心身の持ち主を一人でも多く育てあげ、世に送り出すことにあります。
合気道では柔道や相撲のように組むことはなく、試合もありません。動きは腰を基点とし、常に切れ目なく柔らかな円運動をとり、自然で無理のない動きです。初めて習う人は基本動作として受け身、構え、間合い、入り身と転換の動き、力の使い方、気の流れ、基本投げ技、固め技などを稽古します。また、呼吸力の養成を立ち技、座り技、半身半立ち技(座っているときに攻撃された時の技)などで鍛錬し、段々と高度な技に入っていきます。