合気道小林道場 Aikido Kobayashi Dojo

その14 平成13年10月

 8月19日〜30日まで、ハンガリー合気道本心道場創立十周年、ハンガリー合気道小林道場協会創立五周年記念講習会に招かれて、5年振りにブタペストに行って来ました。

 今回は記念講習会ということもあり、群馬県合気道連盟会長の荒井俊幸師範、副道場長小林弘明指導員と会員5名の総勢8名で参加しました。5年振りに到着した空港は新しいビルディングが建てられて近代的になっていましたが、中心街の町並みはあまり変化は見られませんでした。ハンガリーの首都ブタペストは世界遺産に指定されており、「ドナウ川の真珠」と異名をとるように、近代化したビルだけが立ち並ぶ他の国の都市とは一線を画しています。

 講習会場は軍隊学校の建物の中にある、年代を感じさせる体育館で行われました。ハンガリーの各道場から畳を集めて、340畳を敷きつめ、大変広く感じました。参加者はハンガリー国内のみならず、ヨーロッパ各地と日本を含めて13カ国から300名が参加しました。稽古になると、さすがに340畳の道場も狭く感じました。参加者は、袴をはいた有段者が一割、茶帯が一割、あとは三級以下の人達です。

 責任者のサボー・バラシュ氏は32歳、各道場の指導者も20代前半から30代後半とまだ若く、若い人が多い講習会でした。それだけに講習会も活気があり、この機会に何か新しいものを学ぼうという熱意を感じました。

 講習会後半には昇段審査を行い、四段1名、三段1名、初段3名が受験し、合格しました。審査規定は合気道小林道場の審査規定と全く同じです。審査員が私、荒井俊幸師範、小林弘明副道場長と高段者が3人も立ち会うのは初めての事なので、事前に自分達で何回かの予備審査を行い、優秀な者だけ受験したという裏話はありますが、受験者は皆上手でした。

 ハンガリーと合気道小林道場の交流は約10年前から始まりました。日本の国際交流基金の援助で日本に研修に来ていたハンガリー人が、小林道場指導部・故田村恒雄師範の道場の生徒と友達になった事がきっかけとなりました。彼はサボー・バラシュ氏の道場で稽古を行っていました。当時小林弘明副道場長が青年海外協力隊の短期緊急派遣としてポーランドで活動を行っており、ハンガリー出張の折りにサボー・バラシュ氏の要請で講習会を行いました。

 また、私がポーランドで講習会を行った時にも、ブタペストからワルシャワまで国際列車を乗り継いで参加しました。その時に、今までの道場から独立し、新しく小林道場の指導の基、合気道をハンガリーに普及したいと必死に指導をお願いされました。

 7年前から合気道小林道場から年2回春と夏の講習会に指導部員をハンガリーに派遣しています。初めは飛行機代も小林道場が負担し、指導料も無い状態から始まりました。また、滞在先もホームステイでした。何年かの後、飛行機代が払える様になり、滞在先もホテルになりました。その後は多少の指導料が出る様になってと、会員が増えるに従って待遇が改善されていきました。

 皆さんからご協力頂いています「むすび基金」や自費で、一ヶ月〜半年間小林道場に住み込み、修行に来ている人も多数おります。

 ハンガリーの平均的な初任給は日本円で3万円程です。日本に来て生活するのは本当に大変な事なのです。みな本当に熱心に稽古をして、基本をしっかり習得しておりレベルは高いです。現在、ハンガリー合気道小林道場協会の道場は39カ所で増え続けています。ハンガリーでも幾つかの合気道の組織がありますが、最大の組織になっています。

 若くて合気道の専門指導員として普及に専念している人も5人位でています。希望に燃えて、来年個人で合気道専門の道場を建てると設計図まで見せてくれた人もいます。これは、ハンガリーで初めての合気道の専門道場です。

 今後益々交流を深め、合気道の普及発展に協力し、国際交流の一助となればと思っています。


このページの先頭へ