合気道小林道場 Aikido Kobayashi Dojo

平成23年10月

がんばれ日本! がんばれ東北!

東日本大震災で被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

三月十一日の大震災からもう半年以上経っています。まだまだ現地で生活している人達は復興の途についた所という気分だと思います。特に福島原発での放射能汚染地区の住民は建物等物理的には一切被害を受けてないのに自宅に生活必需品も取りに行けない状態と聞き、同情の気持ちを隠せません。東北地方の合気道関係者も、この度の地震や津波で亡くなられている方も何名か出ています。私も全東北演武大会や講習会などでお会いしている方々なので、残念で仕方がありません。心よりご冥福をお祈りいたします。

合気道小林道場は東北に関連道場がいくつかあります。紹介しますと、宮城県仙台市には合気道神武練成塾、福島県福島市には福島武道館、純真館、湯川道場、会津若松市の合津若松合気会そしていわき市の東湖塾です。合気道専門の道場は地震で多少の被害は出ましたが、直ぐ復旧し稽古の出来る状態に戻りました。しかし体育館、武道館等公共の施設を借用して稽古している場所は、災害者の避難場所となったため長期間稽古出無い場所が現在でも多くあります。一日でも早く通常通り稽古が出来る状態に戻るのを熱望いたします。

地震、津波、原発事故の情報がテレビで放送されると同時に、海外の道場から「東京は放射能大丈夫ですか?先生と家族を世話しますから、私の所に逃げて来て下さい」とのメールや電話がありました。合気道を通した子弟というだけの関係ですが、海外の人も私と合気道小林道場を心配してくれている人達がたくさん居る事に感激しました。そればかりではなく国内や海外道場から義援金が小林道場の東北関連道場宛に送られてもきました。本当に有りがたい事と感謝します。皆さんの志を受け指導部で分配し各道場に送金させていただきました事を、この場を借りてご報告いたします。

私は五月に台湾の演武会に招待されて行って来ました。演武会後のパーティの席上で、隣に座られた元中華民国合気道協進会会長の薛鳳枝氏から聞いた話です。彼は台湾財界のトップクラスの方ですが、彼が言うには、東日本大震災に対して台湾からの義援金は世界一で百六十八億円を超えているそうです。その義援金の九割以上が民間からのもので、いかに台湾の人々が日本の事に関心を持ち、隣人意識があるかの現れだと思います。

日本はその台湾に対して恩を仇で返すような事をしているのです。日本政府は四月十一日に世界七カ国の新聞に東日本大震災に対する義援金や援助に対して感謝の広告を掲載しました。アメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシア、韓国の新聞と国際英字新聞「ヘラルド・トリビューン」にです。しかし日本政府は百六十八億円の義援金を日本に提供した台湾を外しました。台湾とは国交が無いという理由からです。その代わり日本政府は広告と同様の感謝の意を表す管直人首相の書簡を日本の対台湾窓口機関「交流協会」を通じて馬英九総統と外交部長に送ったといいます。こんな事でお茶を濁すとは本当に信じられません。これに対する外務省の説明は「義援金の額ではなく、近隣諸国への影響を考慮して決めた」だそうです。明らかに中国を意識した政治的配慮です。話を聞いていて恥ずかしくなりました。

この一件は、ある日本女性の思いつきで解決したそうです。日本政府が掲載しないなら、自分たちで台湾の新聞にお礼を掲載したらと考えたのです。そこでツイッターやブログで「謝謝台湾計画」と名付けて一口千円で広告費の支援を求めました。多くの方の賛同をえて一千万円近くが集まり、台湾の代表的な新聞二紙に無事広告が掲載され、余ったお金は被災地の義援金に寄付したそうです。日本人の気持は遅ればせながら台湾の人たちに充分伝わったと思います。

私がこの東日本大震災の報道で一番心を動かされた事は、自分が津波にのみこまれるまで、避難の放送を続けたり誘導をしたりした人達が大勢おられた事です。本当に頭が下がります。被災した人々も食糧や飲み水も無い絶望の中で、子供、老人、病人の救助を優先しました。食糧や救援物資を受け取る時に奪い合いをせず、冷静に行列を作り秩序を保ちました。この事が海外のメディアに取り上げられ、東北の人達は尊敬と称賛の言葉を受けたことです。これは合気道の持つ精神である愛、和、互助と統一の精神と同じです。まだまだ日本人は見捨てたものではありません。この災害から得た教訓を最大限に生かし、素晴らしい新しい日本を我々は築いて行こうではないですか。「頑張れ日本」「頑張れ東北」


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