合気道小林道場 Aikido Kobayashi Dojo

その18 平成15年10月

 所沢道場が新築落成し四月一日より稽古が始まりました。所沢道場は住み込み研修のできる道場で、指導部員や海外から来る修行者にとって重要な道場です。小林道場指導部のほとんどの指導員は内弟子として、三年以上所沢道場に住み込み修行し、指導者となっています。

 道場に住み込むことは修行と言う意味合いが強くなります。単に稽古する時間が増えるだけではありません。朝稽古があるため規則正しい生活が要求されます。道場の掃除、稽古の為の準備、時には稽古の助手、先生の世話など、住み込み条件によって違いますが色々と要求されます。肉体的にも、精神的にもかなり厳しくなるのは事実です。それでも毎年海外各国から研修生が十名近く来日しています。

 合気道小林道場第一号の内弟子修業者は鹿内一民師範です。鹿内師範は小林道場での内弟子修行の後、二十八年前にブラジルに渡り、合気道の普及に努力しています。外国人の内弟子第一号はスウェーデンのウルバン氏とウルフ氏です。ウルフ氏は五月三日の所沢新道場落成祝いにわざわざ来日してくれました。彼らは当時二十歳前後の若者でしたが、一年間住み込みました。その後も三年に一度、三ヶ月単位で何回か住み込み研修に来ました。現在彼らはストックホルムの中心部に道場を開いています。会員は一般・子供クラス合わせて五百人おり、スウェーデンで一番大きい組織です。

 大学に通いながら住み込み修業した人もいます。岡田治氏と戸田祐滋氏です。岡田氏は大学卒業後、青年海外協力隊に応募し、初めての合気道隊員として、パプアニューギニアで三年間指導しました。帰国後は千葉県にある国際武道大学に第一期生として入学し、合気道部を創設しました。戸田氏は、卒業後高知県に帰省し、仕事をしながら合気道を続け現在高知県支部長をしています。

 この住み込み研修を行なう様になったのは、私が内弟子として修行した体験からです。一九五五年、私は戦後十年目の混乱が少し落ち着きだした時に新宿の合気道本部道場入門しました。まだ合気道が世間にはほとんど知られて無い時代でした。当時の本部道場は稽古に二十人もくれば多い方です。その中に道場に住み込んで稽古している人が五〜六人もいました。

 道場に住み込み稽古しながら、会社に勤務している人、大学に通っている人、合気道の専門家を目指している人達です。いつの間にか私もその仲間の一人になり、大学の勉強よりも合気道の稽古に夢中になりました。その内弟子修行の間に、合気道の創始者である植芝盛平翁、また、二代道主植芝吉祥丸先生から武道家としての全てを教育され、現在の私が有ります。卒業後は自然と指導部員の一人になっていました。そして、このような素晴らしい経験を、ぜひ他の人にもしてもらいたいと思い、合気道小林道場でも住み込みができる制度を作ったわけです。

 所沢道場が新しくなり住み込みの環境が非常に良くなりました。また、久米川の宿舎も使用できる様になりました。これを機会により一層の住み込み研修制度を充実させたいと思います。受け入れる住み込み研修者の対象を以下の通りとします。

一.合気道の研修に専念し合気道の指導者を目指す者。
二.仕事をしながら住み込み稽古する者。
三.学校に通いながら住み込み稽古する者。

 小林道場の直轄・傘下の会員であることが条件ですが、学校や仕事で休暇が取れた、あるいは、仕事をしながら自分に厳しくもっと合気道の稽古をしたい、と考える人達も住み込みを受け付ける事にします。対象は十八歳以上で男女は問いません。一ヶ月以上一定の期間合気道の稽古に打ち込みたいと思う人は、この制度を大いに活用して下さい。詳細はホームページの「住込み制度」をご覧下さい。申込みは随時受け付けております。申込みの後、指導部および道場長の許可が必要となりますが、大勢の方の申込みをお待ちしています。


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