合気道小林道場 Aikido Kobayashi Dojo

平成22年10月

段々に願いをかけて

本年一月十日に合気道本部道場で行われた鏡開きにおいて、東大和市合気道会の澤田朗氏、合気道調和会の谷村進一氏、小平道場の石村國興氏と京都合気道連盟の南道雄氏が七段位に昇段されました。植芝守央道主の自宅に招かれ道主自らの手で各自に証状が授与されました。一個人道場から一度に四名の七段位が授与されるのは非常に珍しい事で、大変名誉な事でもあります。澤田氏、谷村氏、石村氏は合気道小林道場が道場開きを行って直ぐに入門してきた方々です。

小林道場では以前にも七段位を授与された方は大勢いますが、みな大学合気道部卒業後小林道場に入門して来た人達です。小林道場生え抜きの三名が今年授与された事は、本人は勿論ですが合気道小林道場にとっても誇るべき事でした。私の好きな歌に

段々に 願いをかけて 段々の

               段々高き 段にのぼらむ  

段々に 段をのぼれば 段々の

               段は段々 険しかりけり  (草地貞吾)

という歌が有ります。我々修行者の気持ちを率直に詠まれています。この歌の様に、この度七段を授与された人達はその段位に恥じない様より一層の修行をして、品格ある合気道家として、また、一人でも多くの後輩を指導して合気道の発展を心がけるようにお願いしたいと思います。

話は変わりますが、四月といえば学校や就職と新しいスタートラインに立ち色々な習い事を始める人が多くなります。道場にも入門者が増えます。しかし昔から良く云ったもので「三日、三月、三年」で挫折する人も多くいます。初心者は指導者や先輩の良い見本を見習わなければなりません。「習」の字はよく見ると「白」という字がその中にあります。初心者が白帯をつけるのはここからきていて、ひたすら何回も何回も練習する事に依り帯の色を染めて技を習得していくのです。人間だれでも飽きやスランプがきます。その時に続ける一番の秘訣は仲間、友人をつくる事です。道場に来ている人は合気道が好きで集まって来ている仲間です。初心者だからと遠慮せずに自分から積極的にお願いし、稽古相手になってもらい教えを請うのです。先輩は自分達も稽古の段階で同じ思いをしていますので話し相手と稽古相手になってくれます。

稽古して3ヶ月たつと審査が受けられます。今まで漠然と稽古していた技が審査の練習によって整理され理解できるようになります。審査は年三回(子供クラスは二回)有りますので一つの目標設定になりますし励みにもなります。

そして年何回か有る親睦会、花見、暑気払い、忘年会、合宿等に参加すれば小林道場の会員としての自覚が強くなります。

合気道は世界百カ国以上で稽古されています。合気道は試合が有りませんので稽古そのもので自分を高めて行く修業方法をとっています。海外では武道という事よりも動く「禅」としての感覚で受け止められています。日本より合気道は海外各国で高く評価されています。

合気道小林道場では現在三十カ国以上に指導員を派遣しています。色々な国の住み込み修行生が来ますし、日本滞在中の外国人も数多く稽古しています。その様な人達との交流も国際感覚の修得にもなり、稽古を続ける上での一つの励みになります。そして稽古を続け、級から段に上がり、段に願いを掛けて段々高き段に昇って行きましょう。


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